多重書きの二等辺三角形
病室に着くと、ひかりは俺を見て怒った。
『なんで来たのよ!!なんでここに来るのよ!!!!』
わかってるんだ。
ひかりが1番見られたくない部分だってことくらい。
ひかりが1番来てほしくない場所だったってことくらい。
でも足が勝手に向かっていた。
『帰って!!!純平帰って!!あなたはユナちゃんの彼氏なのよ!!!』
「帰れるもんかよ!!お前はどうしてそんなにすぐ1人になろうとするんだよ!!!少しは弱音吐けよ!!!俺達、友達だろ?」
あっ…、口を滑らした気分だったんだ。
『友達…?そうね、友達よね。純平の彼女はユナちゃんなんだから。』
「なぁ、ひかり。彼氏出来たってのだって嘘なんだろ?俺にはわかるんだよ。正直に話せよ。」
『嘘でもつかないと…嘘でもつかないと…目の前から消えられないじゃない!!!純平とユナちゃんの前から姿を消せないじゃない!!!!』
ひかりの目が涙で滲んでるように見えた。