多重書きの二等辺三角形
『あ~あ…。やっぱり私が現れたのが悪かったのかなぁ。』
「そうじゃない。そうじゃないよ。ハッキリしない俺が悪かったんだ。」
『そうそうあんたは卑怯者だ!!(笑)』
ひかりは俺のオデコを指で押した。
「卑怯者。確かにそうだ。でも…」
『でも…?』
「しょーがないんだ。…どーしようもないんだよ。本当に楽しいんだ。ひかりといるときのほうが楽しんだよ俺。」
するとひかりは涙を浮かべながらこんなことを言ったんだ。
『それでも私は“悪”だよ。許してもらえるかわからないけど、言わなきゃいけない。』
「あぁ、わかってる。ちゃんと言わなきゃ。もう嘘はつけない。だけど俺の口から言う。だからひかりは動かないでくれ。」
『なんで?2人で言わなきゃダメでしょ?』
「ユナの立場を考えてみろ。今こんな状況で、ひかりに謝られたくはないと思うんだ。今は俺に任せてほしい。」
『でも…ユナちゃんわかってくれる?私なら絶対に私みたいな女を許さない。』
俺は首を強く横に振った。