多重書きの二等辺三角形
「でもね。距離を縮めようと思えば思うほど離れていくの。純ちゃんは離れていくの。」
私はノートに新しい三角形を書いた。
「何度も書いて、何度も消して、その繰り返し。2重書き…いやっ、多重書きだったんだ。そうしてる内にいつしか三角形ですらなくなっていたわ。」
私はその三角形を塗りつぶしたんだ。
「元々、私に心なんてなかったのかなぁ…。」
恵美はゆっくり首を横に振った。
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