(禁断)瞳を閉じて。【完】
私の気持ちは、変わっていない。

今だって私は……空が大好き。

他の人なんて……あり得ない。



『陸は相変わらず、“海ー”って、言ってるよ』



「…うん」



『空さんは、仕事に明け暮れて、家に帰ってないみたい』



「……」



…空。

体は大丈夫なんだろうか。

無理、してないかな。



『みんな。海ちゃんを忘れてないよ』



私は久しぶりに溢れそうになった涙を流さぬように、上を向いた。

しかし、目尻から垂れ、耳を通って髪の毛に吸い付いた。

優君は『戸締まり、忘れないようにね』と、小さな声で言って、電話を切った。
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