(禁断)瞳を閉じて。【完】
溢れそうな涙を、下唇を噛んで堪える。

手に持つ沐浴剤が揺れる。



「…ちょっと来て?」



優君は泣きそうな私の腕を引っ張り、赤ちゃん用品の売り場にある授乳室に連れて行った。

お父さんたちもギリギリ入れるスペースにあるL字のソファーに腰掛けると、リュックを開いた。

中から出された封筒を開くと、“招待状”と書かれた、二つ折りの厚紙が出て来た。



「これ…」



「うん。美咲が洋介と結婚する。
あいつらも子供を授かってさ。
だから…迎えに来るから、みんなに会いに行かないか?」



「“みんなに”…?」



空も……含まれるんだよね。
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