(禁断)瞳を閉じて。【完】
…―――ッ!!



「わからないわけないでしょ。
空さんは、あんたのお兄さんであり、彼氏だった人だよ」



陸兄と優君の焦りを他所に、遥の低い声が耳に届く。

交わって逸らせない、空の、私を見つめる瞳。



「遥…私……」



逃げたかった。

消えたかった。

やっぱり空に、会わなければ良かった。

溢れちゃうんだもん。

幸せ…願えなくなる。

“隣に居たい”と、強く思ってしまう。



「――海?もう、逃げちゃダメなんだよ!私…私たちはあんたの幸せを願ってるの!!一方的に願われても、嬉しくなんかないんだよ!!」



遥の声が、チャペルにこだました。

キツく握られた腕を、動かせなかった。
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