(禁断)瞳を閉じて。【完】
「そういや海ちゃんて、何に悩んでんの?」



私があたりめを何本も食べてると、銜え煙草をする典人さんに話を振られた。

私は手に握ってた缶をテーブルに置き、「兄が好きなんです…」と言う。

「マジ?」と、驚く洋介さんに対し、美咲さんと典人さんは真剣に聞いてくれてる。



「兄妹で恋なんて御法度じゃないですか。だから…忘れる為にも家に帰りたくなくて。受験が済むまでは…」



「“受験”?」



私の話に、美咲さんが聞き返して来る。



「県外の大学を、受験するんです」



正直に答えた私に、美咲さんは「なるほどね」と言う。
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