(禁断)瞳を閉じて。【完】
対向車のライトが眩しくタクシーの車内に射し込んだ瞬間……私の唇は、柔らかな感触を感じた。

タクシーは我が家の前に停車し、街灯に照らされた典人さんは耳を赤くしながら、頭をポリポリと掻いてる。



「おやすみ、海ちゃん」



「お、お、おやすみなさい!;;」



私は一瞬にして酔いが覚め、典人さんから離れてタクシーから飛び降りた。

唇を指で押さえながら、暗がりに消えてくタクシーを見送る。

…キス…されちゃった…。

拭うべきか、気にしないべきなのか、放心してる私にはわからない。

その刹那、私の腕が、グイッと引かれた。
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