(禁断)瞳を閉じて。【完】
「ない…ない…!私は…死ななきゃいけないのに……」



ベッドの下や、洗面台の戸棚も見たけど、何一つない。

私は左手の傷に、右指の爪を立てた。



「ん゛…ッ」



痛みに顔が歪むのが、自分でもわかる。

しかし、ここでは諦める事が出来る私ではない。

右手に力を込める。



「頼むから、もう止めろ!」



でも、誰かに止められた。

…何で、居るの…。

私は掴まれた右手から、見なくたってわかる空兄に視線を向けた。

私が空兄を見ると、ギュッと抱き締められた。



「ヤ…ダ…!」



振り払うにも出来ない位、力がこもってた。
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