(禁断)瞳を閉じて。【完】
力の入らない左手には、シールタイプの麻酔でも、痛みは感じなかった。



「高梨さん。次に同じ事をしたら、私は医者として、貴方をベッドに縛り付ける。もう、繰り返したらダメだよ?」



「はい…」



優しい雰囲気のおじさん先生が、私を諭した。

頷いた私に「絶対ですよ」と念を押し、空兄たちに頭を下げて、病室を出て行く。



「この世に絶対なんてあるのかな…?」



私と空兄は結ばれない。

陸兄が私から空兄への気持ちに、100%気付かないという保証も絶対ない。

…何か、こんな理由って、屁理屈かな…。
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