(禁断)瞳を閉じて。【完】
ーーガーンッ
「てめぇ…海に何した」
…――空…。
姿を見なくてもわかる。
大好きな人の、大好きな声だもん…。
青ざめた典人さんは空に引っ張られ、「くっ……」と、苦しそうな声を出しながら、私の上から消えた。
「海――ッ!!」
代わりに陸兄が車に入って来て、私を抱き締める。
私は陸兄の黒の七分丈のシャツの袖を小さく掴む。
「…ッ…陸兄ぃ…―――」
怖かったより、苦しかった。
苦しみより、悲しさが溢れた。
声にならない思いは涙となり、落ちて行く。
陸兄の肩越しに、涙で滲む視界の中に見えるのは、見た事のない空の姿だった。
「てめぇ…海に何した」
…――空…。
姿を見なくてもわかる。
大好きな人の、大好きな声だもん…。
青ざめた典人さんは空に引っ張られ、「くっ……」と、苦しそうな声を出しながら、私の上から消えた。
「海――ッ!!」
代わりに陸兄が車に入って来て、私を抱き締める。
私は陸兄の黒の七分丈のシャツの袖を小さく掴む。
「…ッ…陸兄ぃ…―――」
怖かったより、苦しかった。
苦しみより、悲しさが溢れた。
声にならない思いは涙となり、落ちて行く。
陸兄の肩越しに、涙で滲む視界の中に見えるのは、見た事のない空の姿だった。