先生とひよ子
空き教室までくると
千晴の涙は止まっていた。


『…大丈夫?』


心配する私に千晴はほっぺの涙を拭いながら頷いた。


『ごめん…。琴ちゃん見たら
なんか緊張が一気にとけて…泣いちゃった』


少し恥ずかしそうに笑う千晴。


『とっくんに渡り廊下でチョコ渡したんやけど…うち緊張し過ぎて声が全然出なくなってん。
頭がまっ白くなってあんなん初めて!』


今や笑ってる千晴だけど…

そんなに緊張したんだ…!


『頑張ったんだね!』


千晴は頷いた。


『とっくんに笑われた。
そんなに緊張せんといてって言われたけどやっぱり声が出なくて、チョコだけ渡してん。』


『うんうん』


『最後にな…なんとか付き合って欲しいって言えたんやけど…』


『うん』


『とっくんな…ちょっと考えさせてって。1週間したら返事するって言われた。』


はあぁ~と息を吐いた千晴。


『緊張が溶けてめっちゃ
スッキリした!けど1週間またドキドキせなあかん!』


千晴は笑いながら
私の肩をたたいた。


『次は琴ちゃんやな!』


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