スノードロップ
〈司目線〉







翌朝は早く目が覚めた






身支度を整え 下に降りた

時間はまだ6時半
屋敷はまだわずかな使用人がいるだけだ





末吉はいるだろうか
静かにドアを開けた
















階段を降り一階に降りたが使用人の姿は見当たらなかった





「庭だろう…」





末吉達郎…ずっとこの屋敷に使えている使用人





父…司郎様がいる時からずっと。






-私はなにも見なかったことに致します…。ですから存分にお泣きになられて結構ですよ。







裏庭に通じる道を歩いていると人影が見えた





「…」





人影は大樹の下に佇んでいた
足音がしたのに気づいたのか振り返り頭を下げた




「司さま。おはようございます、随分とお早いお目覚めでございますね」




優秀な使用人らしく末吉はうやうやしい態度で頭を上げた




「おはよう。末吉…」




「…わたくしめに何か、」




おれはふっと笑った



「ありがとう。…一ノ瀬さんに話してくれて」




「…その事でございますか」


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