スノードロップ
ポーカーフェイスの見本みたいに末吉は顔色を変えない
昔からそうだ。だけど優しくないわけではない…
優しさを表現するのが不器用なだけなのだ。
「…昨日の夜、彼女から聞いた。末吉から話を聞いたと…おれも彼女といろいろ話す事ができたよ。助かった」
紅々は…ためらいながらも真っ直ぐにおれの目を見ながら話してきた
正直、見つめ続けるのが痛いくらい真っ直ぐで
あまり彼女の目を見ていられなかった
「…それは何よりで」
「あぁ…。」
ざあと風がふいた
桜が揺れ、花が散っていく
-きれいね、司。
「……司さま」
「なんだ、末吉」
末吉はふぅと息をはき言った
「…よろしかったのですか、本当に一ノ瀬さまにお話して」
「そんな事か…。構わない。お前が判断した事はいつも正しい。おれがあれこれ言うよりずっと信憑性がある」
左様でと末吉は返した