スノードロップ
私は花柳さまと屋敷の中に入り、応接室?として
利用している和室の座敷に案内された。
その和室もまさに料亭と言った雰囲気で
庭も見れる上に、池まで見れる。
いわゆる時代劇で見る、
〈こちらが心ばかりでございます。何卒〉
〈そなたも悪よのう、○○屋〉
ししおどしがカコンと鳴るあの部屋の様子そのもの
と言った感じ。
庶民のわたしはこんな場所、気後れしてしまう。
「お待たせ致しました。失礼致します」
すっとふすまが開き、女性が入ってきた。
畳に手をつきお辞儀をしたあとすっと私達の
向かいの座椅子に座った。
「櫻屋女将の佳乃と申します。おまたせしました」
「久しぶりです。佳乃さん、お忙しい中お時間を割いていただき感謝致します。」
花柳様は軽く頭を下げた。
佳乃さん、という方はふふっと笑った。