スノードロップ
「久しぶりですねぇ、千明さん。 」
「以前は祖父共々お世話になりました。」
「懐かしいですね。さて今日は、どう言った用件で、そちらの方は……?」
佳乃さんは不思議そうに私を見ていた。
花柳様は 一息置き
「彼女は僕の友人の紅々さんです。
以前こちらにいた、芸子・柳涼華さんの過去と現在の足跡を知りたいと彼女より相談を受け、ならこちらでお話を伺えたらと考え足を運んだ次第です。佳乃さんがわかる範囲でお話をしてくださいませんか?」
「なるほど。」
「もっと詳しく言うならば彼女と親しい関係にあるある政治家も彼女を探していて、彼女が彼の力になりたいと考え僕を頼ってきてくれたんです。」
佳乃さんは、それならお話し致します。と
微笑んでくれた。
「涼は故郷は京都にありそちらより、上京しできたと。彼女あまり自分のことを話さなかったので。
5年くらいいたでしょうか。それはそれは、
綺麗な子でした。店で一番人気であっという間に常連さんも付いてくださって…。
琴も舞も遊びも何をやらせてもそつなくこなしてました。」
「けどある日、店を辞めたいと相談を受け聞いたら何やら何処かのお偉方の奥さんになりたいと聞いたんです。慌てました、いくらかお客様とはいえまさか結婚するなんて…。
店の人間が総出で必死になって説得しました。
しかも相手には本妻がいる、わざわざ不幸になる事をしなくてよいと。しかしもう子供を妊娠している、
おろすわけにはいかない。
そんな風に言った時の涼の目は今でも忘れはしません。
覚悟を決めた女の目でした。
涼が決めたなら仕方ないと最終的には店を止めさせました。」