スノードロップ



なんて考えてると



バタバタと向こうから執事の末吉さんが走ってきた


「末吉さん、どうされたんですか」



「一ノ瀬さん、お疲れ様です。いや、その司さまをお見かけしませんでしたか?」




司さま…



「いいえ…。いらっしゃらないんですか?」


末吉さんは、はぁとため息をついた





「…、はい。」



「私もなるべく探してみます。末吉さん」



「ありがとうございます、では失礼いたします」






風のように末吉さんは走り去って行った






「……。」



いない…って




つまりバックレたという事なの?




大事なパーティーで











「……何を考えてるのか、さっぱり分からない」






あれ…奥の部屋が空いている



ほんのちょっとだけど






もしかして 司さまが?

グラスの台車を置いて中に入った



電気はついていない
真っ暗…





床はカツカツと音がする。






「司さま…、います?…」










しんとしている。
誰もいない、







「…いないなら帰りま―」



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