スノードロップ
「紅々なんか鏡ばかり見てる、どうかした?」
「いや…、ちょっと髪伸びたかなって」
るみはあぁと
分かった顔で笑った
「ちょっと伸びたかもねー、伸ばせばいいのに紅々。可愛いよ…」
「かなぁ…」
「ぜったいよ!かぁ―いいて」
かぁ―いいてて…
「夏々はクールビューティー系だし紅々が新たなジャンルを切り開くんだよ」
「切り開けるかなぁ…」
朝礼も終わり
また屋敷の掃除
「相変わらずきったないわね、舞踏室。使うのかっつーの」
夏々はモップに水を浸していた
「仕事でしょ。文句を言わない…、」
舞踏室…
使ってないからか
ガランとした印象だけど
昔はもっと
華やかだったんだろうと
部屋中を見て感じる
数少ない…昔のままの部屋
ここに確か
司様がいた気がする
パーティーの夜…
「夏々ぁ。こういうところで踊ったら楽しいだろうね、綺麗な服着て」
「…あったり前じゃなーい。ダンディーな椿様と社交ダンス…、…むなしい…いやいつか叶えるわ!夢で終わらせないっ…」