スノードロップ
朝礼ではやたらぼけっとして仕事に身が入らなかった
しっかりしなきゃ…いけないのに
「何かあったの。紅々」
「…ちょっと寝不足で、」
「どうせ妄想でもしてたんでしょ。」
夏々はちょっと皮肉っぽく笑った
妄想じゃなくて現実なんです…
相手が司様なんてみんなには絶対言えない…
きっとクビにされてしまう
それだけは駄目。
やめられないの…
昼過ぎ頃。
わたしは庭師さんに引きとめられ話しをしていた
「やぁ…久しぶり。ちょっといいですか」
「え……か、花柳様!」
滅多に現れない人なのによく蒼井家に来る人だなぁ…
相変わらず着物だし…
「いい庭だね。和風じゃないのが嫌だけどね…」
「ありがとうございます。あの…何故こちらに?」
とりあえず庭を散策がてら歩く事にした
「一ノ瀬さんに会いに来たんだよ、司は良くなったみたいだね。いなかったし…、」
「はい……、」
…わたしに会いにきた?
「…一ノ瀬さん、君は司が好きかな?主人としてでなく」
「…え、」
なにを聞きたいの
「君は優しいから、忠告をしに来たんだ。捨てられてからじゃあまりに一ノ瀬さんが可哀想だ…」
かわいそう…?