スノードロップ
「……。息抜きくらいはしろ、幸久さんも許してくれるだろ」
「許すも何も黙認だよ、あの人。自分も浮気ばっかして…表ですかして正しい事してるって顔して、殴ってやりたくなるよ」
お父さん浮気してるんだ
こういうのは
あんまり珍しくはないらしい。
パーティーでたまに
奥さんがいるのに
違う女性を連れて……
「一人前になってから殴れよ。」
「……、」
司さんは ふっと息をはいた
なんだか悲しい…
というかやりきれない気持ち…
「一ノ瀬さんは今日は帰すよ。酔いを冷ませ…ちゃんと大学に行けよ…、お前頭いいんだから」
「……。サンキュ司兄」
うつむいたまま
手をひらひら振った
「失礼します、明日もよろしくお願いいたします輝明さま」
わたしは 一礼した
「……びっくりした?輝明の父親の浮気」
司さんは 書斎に行く階段を登りながら呟いた
「ちょっと…現実にあるのは分かってるんですが……。何だか悲しいです、」
「…なんで?」
正しい事してるって
顔して殴りたくなる…
悲しい顔してた
何より父親を
"あの人"て呼ぶなんて…
「…子供を傷付けていい権利なんか親にはないのに。自分の欲だけにはしって……」