スノードロップ





「……。息抜きくらいはしろ、幸久さんも許してくれるだろ」



「許すも何も黙認だよ、あの人。自分も浮気ばっかして…表ですかして正しい事してるって顔して、殴ってやりたくなるよ」





お父さん浮気してるんだ



こういうのは
あんまり珍しくはないらしい。



パーティーでたまに
奥さんがいるのに
違う女性を連れて……




「一人前になってから殴れよ。」



「……、」




司さんは ふっと息をはいた



なんだか悲しい…
というかやりきれない気持ち…






「一ノ瀬さんは今日は帰すよ。酔いを冷ませ…ちゃんと大学に行けよ…、お前頭いいんだから」



「……。サンキュ司兄」






うつむいたまま
手をひらひら振った



「失礼します、明日もよろしくお願いいたします輝明さま」



わたしは 一礼した


















「……びっくりした?輝明の父親の浮気」




司さんは 書斎に行く階段を登りながら呟いた



「ちょっと…現実にあるのは分かってるんですが……。何だか悲しいです、」




「…なんで?」


正しい事してるって
顔して殴りたくなる…


悲しい顔してた


何より父親を
"あの人"て呼ぶなんて…






「…子供を傷付けていい権利なんか親にはないのに。自分の欲だけにはしって……」




< 91 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop