スノードロップ
だまされるのには慣れてる






「紅…」


だけど…





「……いずれあなたは私じゃない人を選びます。きっと……司さまは…失礼いたします」












バタン!


部屋を出る
これでいい……







これでいい…
初めからこうだったはずだから





憧れているだけで…
終わるはずだったから








「……っ、」






泣く必要なんか
ないのに涙が出た





急いで寮に戻る



























『こんな時間に電話かい?』






花柳はふっと
笑ったのがわかった


「一ノ瀬さんに話したのか…彼女を騙すこと」




『あぁ…、別にいいじゃないか。どうせ捨てるんだろう…僕は言ったはずだ。欲しいならそれなりの態度を…とれって』





「……」




『罰が当たったんだよ、司。君が人の気持ちを利用したから…』




なにが罰。

花柳(奴)だって他人に言えるほど立派な事してない癖に




-わからないです…、あなたは私じゃない方を選ぶ



小さい子をなだめるみたいな優しい言い方







「わからないって何がだ。何も知らないくせに」



『……』



電話はプツリと切れた
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