魔法使い(17)に恋されて
1、ハンカチから
きっかけ
―――そう、これは多分この時から始まっていたんだ。
「大丈夫ですか?」
道路に蹲(うずくま)っている人に声をかける。目の前で盛大にコケた人を無視する、という程私は薄情じゃない。
「はっはい!」
・・・例えそれが、学校全体で噂になっている全身黒マントの男であっても。
「あ、手から血が出てる」
「えっ・・・あ、ほんとだ」
私は鞄のポケットに常備してあるハンカチを彼に渡した。黒いフードでよく分からないけど、口元が痛そうに歪んだのが見えてしまったから。