魔法使い(17)に恋されて
ここは通学路だから、遠巻きながらも人が集ってきている。やっぱり目の前の人は有名人なんだなと他人事のように思う。

もう大丈夫そうだし、帰ろう。

「それじゃあ、私はこれで」

「―――あっはい」

ぼーっとしていたのか、弾かれたようにこっちを見る。・・・この人、もしかして鈍いんじゃないだろうか。

まあ、私には関係ないか。そう思って背を向ける。


―――この時私は気付いていなかった。

「・・・・川田、玲奈」

彼が私の名前を呼びながら、渡したハンカチを握り締めていたことに。
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