きになるあのこ

そう言って急いで扉の方へかけていく彼女。

相変わらず可愛らしい…。

俺はこんな彼女に惹かれて、高校1年の春、電車の中で恋に落ちた。

これがよく言う一目ぼれってやつですね。

でも彼女はなにも知らない。

俺が

ずっと見ていたってことも。

思いっきり恋に落ちてるってことも。

そして俺も知らない。

彼女がどんな名前なのかも。

何も…知らない。


放送「扉が閉まります。ご注意ください。」

「あ!やっべ!!」

見とれてたら
危うく降り忘れるとこだった。

「あははっ、大丈夫ですか?」

笑った…。

「あっははっ、綺麗なお姉さんに見とれてたわ~」

「なにそれー!あははっ」

初めて見た。
彼女の笑顔…。


こうして他愛もない話をしながら、俺達は駅を出た。

「じゃ私こっちなんで、今日はすいませんでした。また明日!!」

そう言って手を振る彼女。

「おう!じゃぁな!!」

そう言って振り返す俺。


また…明日…か。


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