いつか、きっと。
足がすくんでるのはみんな同じ。
そうなのかもしれない。
だけど、サクは前を向いてる。
必死になって私の名を呼んで、手を握っていようとしてくれる。
「…しゃあねぇな。楓に借りるか」
「楓もこのこと…」
「知ってる。あとは皐月だけだ」
私は…
その声に応えなきゃいけない。
時間はかかるけど、でもきっと。
「…行くよな、皐月」
みんな、待ってくれる。
私が歩けるようになるのを。
『皐月』
そうだよね?
鏡夜―…
「―――うんっ」
時間が歩き始め、流れるようにして景色が移り変わる。
思い出も記憶も全部巻き込んで。