いつか、きっと。
「…あぁ。うん、分かった。また夜に電話する。じゃあな」
電話を切り、楓は小さく息をつく。
「どうだ、具合は」
「ん、平気」
額にかかる髪を払い、楓が私の額に手を乗せる。
楓の手、ひんやりして気持ち良い。
そっと目を閉じる。
「まだ熱いな…」
小さくつぶやくと、楓は額から手を外し、私の髪に触れた。
髪を優しく梳く楓の指。
閉じていた目をこじ開け、楓を視界にいれる。
「楓…」
「ん?」
「約束…遅れるよ……」
さっきよりも呼吸が浅くなる。
そんな私に楓は微笑み、そうだな。と言った。