いつか、きっと。
他の人なんて、関係ないのに。
自分と、自分の大切な人を1番に考えてほしいのに。
そう思ってしまう私を、みんなはなんて思うんだろう。
「……っき、皐月」
サクの声に驚いて顔を上げる。
眉間にシワを寄せたサクが、私の顔を覗き込んでいた。
「あ…何?」
「大丈夫か?顔色、さっきよりも悪くなってるぞ」
ほら、今だって。
どうして人の心配ばかり……
「皐月、今日は帰った方がいい。送ってやるから」
ついさっき直した自転車に歩み寄り、手をかけるサク。
その腕をそっと掴み、やんわりと断った。
私のことでもう、誰にも心配をかける訳にはいかない。
気を遣ってほしくないんだ。