いつか、きっと。
「幸せだな…って、思ったの…」
こうして鏡夜の腕に抱かれていることが。
相変わらず体はだるくて辛いけれど、心は幸せな気持ちで満たされていた。
ふふっと笑う私に、やや間をおいて、鏡夜がそっか…とつぶやく。
その声に何だか違和感を覚え、ゆっくりと双眼を開く。
「………鏡夜?」
私の問いかけに、ん?と尋ねる鏡夜。
いつもと変わらない優しい声に、ただの勘違いだったのだと思い直す。
『ほら、早く寝ないと。楓に言われたでしょ?』
「うん」
まぶたを閉じると、眠気がじんわりと体を包んだ。
「…おやすみ、鏡夜」
『おやすみ』
鏡夜の優しい声に微笑むと、私は眠りの世界へと落ちていった。