いつか、きっと。
「大丈夫だから、サク。早く行こう?」
「でも皐月、………」
笑ってみせた。
“大丈夫、私は平気だから”
それを伝えるために。
そんな私に対して、サクの表情は厳しかった。
何か言いたげな視線を送ってくる。
「ほら、遅れちゃうよ。早く行こう」
その視線に気付かないフリをして、ぐいぐいとサクの腕を引っ張った。
―――聞きたくなかった。
何を言われるかなんて、手にとるように分かる。
でも、そんなことを聞きたくなんてなかった。
「行こうよ、サク……お願いだから…」
お願い、サク……
何も言わないで…