いつか、きっと。
ジリジリと八月の熱い太陽が、砂浜に照り返して私たちを照らす。
そっとかぶっていた帽子を目深にかぶり直し、前方に悠然と広がる景色に目を向けた。
――――……キレイ。
風が私のすぐ横を通り抜け、水面を揺らし、キラキラと光を放つ。
スッとサンダルを足から抜き出し、柔らかい砂に置けば、私の足を覆い隠すようにさらさらと砂が流れる。
ジンジンと足の裏を刺激する熱さに、思わず笑みがこぼれる。
『――――……皐月』
笑みを浮かべたままゆっくりと振り返れば、視界に潜り込む、愛しい人の姿。
「ね、鏡夜」
『ん?』
下げていた腕を持ち上げ、すぐ近くにある“蒼”を指差した。
「―――…海」
ただ嬉しくて、早くこの感情を伝えたくて。
なのに私の口をついたのは、ちっさな一言。