いつか、きっと。




暗闇で一人きりだと泣いていた私を、鏡夜が見つけてくれたの。



――――……皐月。



私の名を呼んでくれたの。





『皐月?』





ごめんなさい、お母さん。



たくさん、たくさん謝りたい。



けど、そんなことしたらお母さんきっと怒るでしょう?



だから、一番伝えたい気持ちを伝えるよ。





「――――……ありがとう」





たくさんの“ごめんなさい”よりも、もっともっとたくさんの“ありがとう”。



ね。



これなら文句ないでしょ?





『……気をつけてね』





お母さんは最後にそう言うと電話を切った。



ツーツーッと切れた電話を耳から離し、鏡夜を見つめた。
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