いつか、きっと。
『ほんと二人は騒がしいね』
「うん。相変わらず」
『ははっ。でも…』
―――懐かしくて、仕方ないや。
独り言のようにぽつんとつぶやいた鏡夜に、私は何も答えなかった。
ただ鏡夜の隣で、二人のことを見ている横顔を眺めた。
時間が止まってしまえばいい。
心の底から思った。
「皐月!お前からも何か言ってくれよ」
「だから朔夜のせいだって!」
叶わない願い。
それはただ虚しくて、とてもやりきれなくて。
もう投げ捨てたくもなる。
けど、だけど。
『おいで、皐月』
ここに私の“願い”は存在しているから。
淡い希望が私を導くから。
微笑む鏡夜に手を伸ばした。