いつか、きっと。
「――――……ねぇ」
ベンチに腰をかけ、足をぷらぷらと揺らしながら、目の前で準備運動を始めた楓の背中に声をかける。
「私も海に入りた…「ダメ」
むぅ…
声のする方に顔を向けて、唇を突き出す。
私の声を遮ったのはサク。
着ていたTシャツを脱ぎ、サクが楓と同じように体を捻る。
その際、ちらりと私に視線を落とし、もう一度「ダメ」と繰り返した。
「もう平気だってば」
「ダメ」
「少しだけ…」
「ダメ」
頑なにダメと繰り返すサクに、とうとう怒りが込み上げてきた。