いつか、きっと。
何よ。
せっかく海に来たのに、入れないなんて。
「サクの馬鹿」
キッとサクを睨みつけると、サクはするりと視線を解き、ベンチの上の水を手に取った。
「何とでも言え。ダメなもんはダメだ」
そう言うとサクは水を口にした。
怒りで震える私が叫ぼうとした瞬間。
「こら、朔夜」
楓の声が聞こえた。
そしてサクを睨みつける私の頭に手を乗せ、ぽんぽんとリズムよく撫でる。
「そんな言い方したら、皐月が怒るに決まってんだろ」
な?と問われ、力いっぱい首を縦に振った。
ダメダメばかり言われるのは、何だか腹立たしい。
そんな私にサクは小さなため息をついた。