いつか、きっと。
「…でもダメだ」
「どうして?」
すかさず口を挟むと、サクはじとりと私を睨んだ。
ビクッと肩を揺らした私の体を後ろから抱きしめた楓。
温かくて優しい楓の体温が伝わってくる。
「心配だから」
「えっ?」
サクではなく楓が口を開いた。
「皐月が心配で心配で堪らないから」
「おい!」
「違うのか?」
楓の言葉にサクは思い切り唇を噛み締めて俯いた。
おろおろと二人の顔を見比べる私に、楓は優しく微笑んだ。
「ただ皐月のことが心配なんだよ」
「でも…もう平気なのに」
「そうじゃなくて…」
「?」
そうじゃない?
首を傾げる私に、楓は抱きしめる腕に力を込めた。