いつか、きっと。
「皐月。男ってのはみんな狼なんだ」
「狼…?」
全く意味が分からない。
眉を寄せる私の視界の端に、鏡夜が木に背中を預けて目を閉じている姿が映った。
じっと鏡夜を見つめると、ぱちりと目を開けた鏡夜が私に気づく。
「だからお前は危ないの。分かる?襲われるぞ」
優しく微笑む鏡夜に見惚れ、ぽーっとしてしまう。
『……………』
―――何?
口パクで鏡夜は私に伝えようとしてる。
――――は、な、れ、て。
離れて?
離れる?何から?
楓の胸の中で首を傾げる私の額に、小さな痛みが走った。
「〜った!」
思わず鏡夜から視線を逸らし、目の前の不機嫌そうなサクを睨む。