いつか、きっと。
「何するのよ!」
「聞いてたか?」
「へ?」
目をぱちくりとさせ、サクを見つめると、あからさまにサクは大きなため息をついた。
「…なぁ、楓。どうやらこの能天気な姫さんは、俺たちの忠告を聞いてなかったみたいだ」
「姫!?」
「みたいだな。せっかく連れてってやろうと思ったのに」
「えっ」
腰に回していた腕をするりとほどき、楓は傍にあったビーチボールを手にする。
えっ?えっ?と慌てる私をよそに、二人は砂浜へ歩いていってしまう。
「ま、待って…!」
置いてかないで…!
そんな私の気持ちが通じたのか、くるりと楓が振り返る。