いつか、きっと。
「皐月、水着にはなるなよ!」
少し表情を緩め、手にしたビーチボールを弄びながら楓は私に向かって言った。
ポカンとする私を見てサクは笑い、そんなサクを楓は促した。
二人の背中が遠くなる。
「―――水着になるな、って…」
潮風が高い位置で束ねたポニーテールを揺らす。
「私、何しに来たんだろ…」
小さくつぶやき、その場に立ち尽くす。
ガヤガヤとざわめく砂浜に、ぽつんと佇む私は何だか場違いなように思え、仕方なくとぼとぼとパラソルの下に足を動かした。
すとん…とベンチに腰を下ろすと、無意識にため息がこぼれた。
そんな私の脇を、キャー!と明るい叫び声を上げながら女の子たちが走っていく。
「………いいなぁ」
それを羨望の眼差しで見つめると、またため息が落ちた。