いつか、きっと。
『――――…皐月』
そんな私の名を呼ぶ、透明な声。
そして、ふわりと私の前に腕を回された。
「鏡夜……ねぇ、何で海に来たのに、水着になっちゃダメなの?」
むすっと唇を突き出す。
だってあんまりだよ。
とっても空腹で目の前においしそうなオムライスがあるのに、お預けをくらった感じ。
熱も下がったし、何にも心配することないのに。
「サクと楓はいいのに、何で私だけダメなの?ずるいよ」
『うーん…』
「ね?鏡夜だってそう思うでしょ?」
さっきの鏡夜の返答が否定的じゃなかったのに気づき、勢いよく後ろを振り返った。
「…っあ」
が、ピタッと固まって動けなくなってしまった。