いつか、きっと。




『――――…皐月』





そんな私の名を呼ぶ、透明な声。



そして、ふわりと私の前に腕を回された。





「鏡夜……ねぇ、何で海に来たのに、水着になっちゃダメなの?」





むすっと唇を突き出す。



だってあんまりだよ。



とっても空腹で目の前においしそうなオムライスがあるのに、お預けをくらった感じ。



熱も下がったし、何にも心配することないのに。





「サクと楓はいいのに、何で私だけダメなの?ずるいよ」



『うーん…』



「ね?鏡夜だってそう思うでしょ?」





さっきの鏡夜の返答が否定的じゃなかったのに気づき、勢いよく後ろを振り返った。





「…っあ」





が、ピタッと固まって動けなくなってしまった。
< 199 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop