いつか、きっと。
キュッと唇を固く結び、一歩を踏み出した。
私が通る度、みんなが振り返る。
同じ目をして。
何も気付かないフリをしながら、私は教室の前に立った。
そっと瞳を閉じ、心を落ち着かせる。
何を言われたって、どんな目で見られたってくじけないでいられるように。
――残酷な私が目覚めないように
「……………大丈夫」
小さくつぶやき、ドアに手をかける。
一瞬の間を置いて、静かに腕に力を込めた。
―――大丈夫……
私が教室に入った途端、騒がしかった空間が、水を打ったように静まり返った。
クラス中の視線が体に突き刺さってくるのを感じる。