いつか、きっと。
じっと澄んだ奥深い漆黒の瞳に捕われる。
いまにもキスが出来そうな距離に、息が出来なくなった。
とくん、とくん――。
自分でも顔が真っ赤になっていくのが、よく分かる。
『皐月―…』
甘い声で囁かれ、どうしていいか分からないくらい脳が痺れて、体の感覚が失われていく。
急激に体が重くなった気がして、何だか座ってられない。
弱々しく身をよじり、離れようとする私を、鏡夜は許さない。
「鏡夜…」
どんなに時間が経って、鏡夜といる時間が長くても。
私は鏡夜にずっと、ドキドキしっぱなしなんだ。
『…本当に困った姫だね』
鏡夜の手の平が私の頬を滑るように撫でる。
たったそれだけでどうしようもないくらい胸が高鳴る。