いつか、きっと。




「…えっ?なにそれ。朔夜が?ははっ、そっか」





流れるような人の波を早足で抜けていく鏡夜の背中を追いかける。





―――待って…!





必死に走り、やっと隣に追いついたそんな私の耳に、とんでもない言葉が飛び込んできた。





「怪我は?……そっか。でもね、“皐月”に何かあったら、朔夜でも許さないからって言っておいて」





―――――えっ……?





突然鏡夜の口から飛び出した、私の名前。



どういうこと…?



私は、ここにいるのに……



混乱している私をおいて、どんどんと歩いていってしまう鏡夜。



戸惑いながらも慌ててあとを追いかける。





「ん?今日?別にいいけど…皐月、数学苦手だもんね」





ハハッと笑う鏡夜に、私は身体が固まった。
< 210 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop