いつか、きっと。
「…えっ?なにそれ。朔夜が?ははっ、そっか」
流れるような人の波を早足で抜けていく鏡夜の背中を追いかける。
―――待って…!
必死に走り、やっと隣に追いついたそんな私の耳に、とんでもない言葉が飛び込んできた。
「怪我は?……そっか。でもね、“皐月”に何かあったら、朔夜でも許さないからって言っておいて」
―――――えっ……?
突然鏡夜の口から飛び出した、私の名前。
どういうこと…?
私は、ここにいるのに……
混乱している私をおいて、どんどんと歩いていってしまう鏡夜。
戸惑いながらも慌ててあとを追いかける。
「ん?今日?別にいいけど…皐月、数学苦手だもんね」
ハハッと笑う鏡夜に、私は身体が固まった。