いつか、きっと。
「ねぇ…いつ、帰ってくるの…?」
そんな私が甘かったのかな。
ふらりと消えた鏡夜が帰ってきたのは、日がとっぷりと暮れた後だった。
いつまでも帰って来ない鏡夜に、いてもたってもいられなくなった私は、家の前でずっと待ってたんだ。
そして、1時間ほどが経って、半袖のシャツから覗く腕が肌寒くなってきた頃。
どこからともなく鏡夜が歩いてきた。
私の姿を確認すると、驚いたように鏡夜は足を止め、『皐月…?』と私の名前を呼んだ。
その途端にじわっと視界が揺れて、ほろほろと涙が落ちていく。
ぽたぽたとこぼれ落ちる涙は熱くなったアスファルトを濡らし、ゆっくりと消えた。
慌てて駆け寄ってきた鏡夜は、嗚咽を漏らしながら泣く私を見つめた。
……そう、見つめるだけ。
鏡夜はいつもみたいに、抱きしめてはくれなかった。