いつか、きっと。
あっ……
ふと手を伸ばし、鏡夜に触れようとした私の右手。
そっと鏡夜の背中に寄せる。
そう、確かにそれは鏡夜に届いたはず。
……なのに。
触れた手応えはなく、私の手は鏡夜の体を通り抜けた。
分かっていた。
ずっと、ちゃんと、分かっていたの。
私の頭を撫でている時も、私の涙を拭っている時も、私を強く抱きしめている時も。
鏡夜は、いない。
ただ、温かい“気配”を感じるだけで。
でも私、それだけで良かったんだ。
それだけで、鏡夜を感じれたから。
――――皐月?
なのに、どうしてだろう。
今、本当に鏡夜に触れられなかった気がする。