いつか、きっと。
私と鏡夜は違うんだ、って。
私たちの存在の違いを、見せつけられたかのように思えてならなかった。
指先はまだ冷たいまま。
それを温めてくれる人は、もう…どこにもいないんだ。
心の奥底で閉じ込められていた不安が、どろりと溢れ出す。
嫌だよ……
鏡夜、行かないで―…
私を振り返る鏡夜が、玄関から漏れる光に今にも飲みこまれてしまいそうで。
鏡夜…
鏡夜……
『――――皐月』
ハッとして閉じていた目を開けると、上半身を起こした鏡夜が私を見下ろしていた。
『どうしたの?ぼーっとして』
首を傾げる鏡夜。
その仕種が、さきほどの鏡夜を連想させて、私は顔を逸らした。
『皐月?』
「大丈夫……何でもない」
ドクドクと嫌な音を立てる心臓を押さえつけるように、胸の前で固く両手を握った。