いつか、きっと。




それに気づいてしまった時、どうしようもなく寂しくて。



苦しくて……





「…きょぅやぁっ」





その手を離したくない。



一度離れてしまえば、鏡夜は帰ってこない。



そんな気がするから。





「っ私も、連れていって…」





もう、一人ぼっちは嫌だよ…





『皐月』





たっぷりと間を空けた後、鏡夜が口を開く。



ふっと頭に温もりが宿り、頭を撫でられていることに気づく。





『今日は楓がいるよ。塾には行かないんだって』





ゆっくりとゆっくりと撫でるその手は、どんな時でも私に安らぎを与えてくれる。



だけど…今日はどこか違って、胸が締め付けられるように痛んだ。
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