いつか、きっと。
その優しさが痛いくらいに心に沁みて、私を離れがたくする。
キュッと楓の背中のシャツを掴み、震える声を振り絞る。
「……か、ぇで」
今にも消え入りそうな声。
そんな声でも、楓は聞き逃さなかった。
どうした?
そう言って頭を撫でてくれる。
新たな涙がこぼれるのを感じながら、震える唇に言葉を乗せた。
きっと、届くと信じて。
「ゎ、たし……っ大切な、人だった……?」
ゆっくりと瞳を閉じ、楓の返事を待つ。
一瞬の間を置いて楓は笑い、「うん…」とつぶやく。
こうなったら、止まることは知らない。
「い、ちばん…?」
「うん」
「っ…、ほん、と……?」
「うん」
「ゎた、し……」
「うん…」
――――お前は愛されてるよ。
.