いつか、きっと。
穏やかに優しい色を含んだ楓の声に、私は小さく笑った。
そっか―――…
私、愛されてるんだ。
サクも楓も、何度も優しく説いてくれた。
大好きな二人に言われたら、疑いっこない、疑える訳がないんだ。
――――鏡夜。
私、やっとやっとわかった気がするよ。
鏡夜が何で戻ってきたのか。
何で私の前だけに、姿を現したのか。
全部きっと。
優しい鏡夜だから。
だから、ねぇ。
もう悩んだりしないから
もう迷ったりしないから。
ちゃんと鏡夜と向き合うから。
思い出の中の鏡夜じゃなくて、今ここにいる鏡夜と向き合うから。
そうしたらきっと―――。
手を…手を離せるから。
だから、早く。
早く会いに来て。
戻って来て、鏡夜―――…
「鏡夜…………」
.