いつか、きっと。




昨夜からずっと降り続いているこの雨が、愛しい人の体を冷やしてはいないか。



ただ……それだけが気になる。



もう、どこに行っていたかなんて知らなくてもいい。



何をしていて、どうして帰って来なかったかなんて、もういいんだ。



そんなことはもう……いい。



ただ早く。



早く――――会いたい。





「鏡夜――…」





伝えたいことがたくさんあるの。



私の話を聞いてほしいの。



うまく言えないかもしれない。



だけど、一生懸命伝えるから。



だから、だから……



そっと窓に手を伸ばし、込み上げてくる熱い雫を包み込むように瞳を閉じた。






――――雨が、降る。






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