いつか、きっと。
「どこにいるの…?鏡夜……」
―――“皐月”
耳元で鏡夜の声が聞こえる。
―――“皐月。今日はどこに行きたい?”
いつもの鏡夜の優しい言葉が蘇る。
無意識に両腕を抱え込んでいた。
「鏡夜………」
寒い訳があるはずないのに、私の体は氷のように冷たくなっていく。
冷たい…
寒い、寒いよ……
鏡夜―…
「皐月っ!?」
「大丈夫だよ……」
「大丈夫な訳ないだろう…!」
楓が慌てたように私の方に手を伸ばす。
―――パシッ…!
「…っ!?皐月……?」
あろうことか、私はその楓の手を拒んでいた。
1度だって、そんなことをしたことなんてなかったのに。